歌川国芳の浮世絵(複製版画の通販にリンク



現代的な感覚、遊び心のある浮世絵。活動範囲も広く、役者絵、芝居絵、読本の絵、妖怪の絵、風景画、遊び絵、だまし絵、動物の擬人画まで縦横無尽に活躍した奇想の天才絵師、江戸っ子の鉄火肌の歌川国芳だ。
下に一押しの浮世絵絵師のアンケートも作りました。人気絵師のランキングを作りたいと思いますのでご協力ください。

歌川国芳の生涯

1797 日本橋銀町に生まれる。幼名 芳三郎
1811 15歳 このころ、豊国に入門したと伝わる
1813 17歳 絵師の見立番付に名前が載る
1814 18歳 合巻 御無事忠臣蔵の表紙、挿絵を描く
1819 23歳 一勇斎の斎号
1827 31歳 出世作となる武者錦絵 通俗水滸伝豪傑百八人之一個
1831 35歳 高祖御一代略図 このころ、洋風表現を取り入れた風景版画を発表
1837 41歳 最初の妻 斉藤せゐと妻帯、河鍋暁斎が7歳で入門
1839 43歳 長女 とり誕生
1842 46歳 次女 よし誕生 艶本の取締りで5貫文を科料される
1843 47歳 源頼光公館土蜘作妖怪図、墨戦之図等から当局から睨まれる
1844 48歳 北斎に面会、歌川派なので弟子入りは断られた?
1850 54歳 きたない名医難病治療 が諷刺画としてお咎めを受け弟子の芳虎と始末書 月岡芳年入門
1852 56歳 誠忠義士肖像 甲越川中島大合戦
1853 57歳 浮世又平名画奇特が諷刺画としてお咎め、この年の評判記、豊国にかほ、国芳むしゃ、広重めいしょと掲載される
1856 60歳 最初の妻せゐが没する、後に後妻を娶る 国芳雑画集
1857 61歳 絵本豊臣勲巧記
1861 65歳 自宅で没す

主に歌川国芳 (新潮日本美術文庫)

の年表を参考に作成、年齢は概算 

 作品(複製版画の通販にリンク)  私の感想
森アーツギャラリーの国芳展のポスターになった絵。六本木の町に張り出されても現代のポップアートのようで違和感がなかった。江戸時代は金太郎より怪童丸といわれていたらしい。
猫のしぐさが駄洒落になり、東海道五十三次を表している。猫好きだった国芳の猫に対する愛情があふれている。
国芳の浮世絵は江戸で刺青をはやらしたらしい。この武者絵も背中全面に刺青が入っている。
イタリアで最近発見された絵。ぼんぼんとは子供がねり歩く遊びらしいが、金魚が網をうちわ代わりに持つたり、金魚が亀の子供の手をしっかり握ったり、ほのぼのしい。
 金魚が雨宿り、雨がアメンボ、洒落が効いていて面白い。
 金魚づくしのシリーズはいずれも楽しい。水中の泡をしゃぼんだまに見立てているところが面白い。
川向こうの現代のスカイツリーが立っていた場所に、スカイツリーに似た井戸掘りのやぐらが描かれていたので話題となった絵。
ニューホフ著の「東西海陸紀行」という本の挿絵を参考にした絵、西洋画の写実性が持ち込まれ夜討の夜の深々とした雰囲気が引き立っている。
「ほぐぞめ」とは、女性の着ている着物の柄のこと。文字を書いた後の古紙(反古)のようなので、こう呼ばれました。このような柄を選ぶのも国芳らしい。
 団扇絵の美人画だが窮屈なスペースに雨の中ちょうちんを抱えていく動き、胸元や、腕まくりから色っぽさも感じられし秀逸な作品。
広重のような風景画だが、雪の表現等が国芳らしい。国芳が信心していたらしい日蓮上人が題目を唱えながら雪の中を歩む姿。
 首尾の松とは浅草蔵前にあった松らしいが、絵の中心はフナムシと蟹、今見ると面白い絵だか当時の風景画としては売れなかっただろう。
鯨の迫力、劇画のようなタッチが現代的。
大きな月と、月明かりからできる影が印象的。
菊、亀、蟹という取り合わせが面白い。
鮎の群れがどことなく愛イらしいやさしい絵。
雨に打たれて歩く人、ひとつの傘に3人ではいる人、閉じた3人分の傘を運ぶ人がすれ違う、ちょっと人生の悲哀を感じさせる絵。
 強烈なインパクトのある、そして正確に描かれた骸骨が覗くこの絵は奇才国芳を代表する絵になっている。下に紹介する2冊の本も表紙にこの絵が使われている。


参考図書 
 全ページカラー国芳の絵を紹介する事に主眼を置いている。特にバックを黒にしていることで、国芳のダイナミックなパノラマ絵が効果的に見れる。奇想の天才絵師という副題に沿うように強烈な印象のある絵に多くのページが当てられている。
 歌川国芳の生涯と作品が絵と文章でまとめられている。絵が全体の6割くらいのスペースで著者の解説が書いてあるのでわかりやすい。著者は画家だが他にも何冊も邦芳の本を書いている人で、国芳を「頼りになる親分」と言っている。時代の背景と国芳の業績を網羅的に集めているが、作者の各絵に対する一言のコメント、たとえば「宮本武蔵と巨鯨」に対して「武蔵などどこ吹く風の大鯨」などと紹介しているのが楽しい。
 国芳の描いた妖怪、擬人化された動物の絵などにスポットを当てた本。作者も「国芳の描く妖怪たちは力強く、健康的ですらある」と書いてるように楽しく眺められる。芝居絵、役者絵等の浮世絵だけでなく、読本の挿絵として絵かがれたものも説明されている。妖怪の絵の基となっている古典や、歌舞伎、読本の内容が説明されている。国芳の絵は裏にあるストーリーや、背景がわかるとまた見え方が違ってくる。
 コンパクトなサイズの本であるが、国芳の代表的な絵を見開きの2ページで1ページに解説を載せて1ページの全面が絵になっている構成で大変見やすい。この構成で32の作品を紹介している。巻末には内藤正人さんが歌川国芳の人と作品を「江戸っ子絵師、参上!」という題で、愛すべき鉄火肌の絵師として解説。


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